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賃料などについて

まずは基本から・・・実質賃料?支払賃料?

実質賃料とは、鑑定評価で求める賃料の種類の一つです。
賃料には地代や家賃があるが、これらはまた実質賃料と支払賃料とに分けられています。
実質賃料とは、一定の期間に貸主に支払われる経済的対価のすべてを意味し、定期的に支払う金銭による支払賃料とは異なります。
地代、家賃として定期的に支払われる支払賃料以外に一時金の授受があればそれを考慮しなければならないとされています。
つまり、一時金が賃料の前払的性格を持つ権利金である場合は一定の期間内に発生するその運用益および償却額、また、預り金的性格を持つ敷金、保証金等である場合は同じくその運用益が含まれるということです。

支払賃料とは、鑑定評価で求める価格または賃料の種類の一つです。
不動産の賃貸借等に伴い、その契約に当たって支払われる一時金を除いて、各支払時期に支払われる賃料であります。

  支払賃料は実質賃料の構成要素の一つであるといえます。
一時金の授受が行われないときにあっては支払賃料は実際上、実質賃料と一致することになります。

さらに詳しく・・・「賃料」ってどのように決まるの?!

実際実質賃料とは、「実際実質賃料」という用語を初めて目にする人は多いと思う。
この用語は、不動産鑑定評価の専門用語である。

不動産鑑定評価の専門用語であるからと言って、不動産鑑定評価の中でしか使われなく、かつ存在でしかないものかというと、そうではない。
その専門用語の意味する内容のものは、建物の賃貸借契約が行われている賃料には、全て実際実質賃料というものが存在している。
実際実質賃料とは、賃貸借契約されている時に、借主から貸主に支払われる全ての賃料対価をいう。
それを構成するものは・・・・・
  • 支払賃料
  • 共益費
  • 保証金・敷金の運用益
  • 保証金の償却額
  • 礼金の償却額
  • 過去に支払った更新料の償却額
である。
実際実質賃料は、対象建物の賃料のみに適用されるだけでなく、賃貸事例比較法を行う場合には、その賃貸事例の賃料にも適用される。

実際実質賃料が鑑定評価上に登場する場合は2つある。
  1. 新規賃料を求める場合に、積算賃料と賃貸事例比較法の2つの賃料より実質賃料を求めるのであるが、その賃貸事例の賃料を求める時に実際実質賃料を考えなければならない。
  2. 継続賃料の差額配分法を行う際に、対象不動産の実際実質賃料を求める必要がある。
    実際実質賃料の計算で、多くの不動産鑑定士が見落すのが、共益費、保証金の償却額、過去に支払われた更新料の償却額である。
共益費は通り抜けの金額だからという理由で計上しなくても良いと考えている不動産鑑定士も居るようであるが、収入としての共益費と支払としての共益費は必ずしも同額であるとは言えない。
共益費の中には共益費として通り抜けの金額もあろうがそうでない部分もある。その通り抜けでない部分は賃料のうちの純賃料に属することになる。

もし通り抜けを理由として経費計上もしないとするならば、固定資産税はまさに通り抜けそのものであることから、経費計上する必要が無いことになる。
しかし、通り抜けの費用の最たるものである固定資産税には通り抜け云々の理由を付けずに計上し、共益費は通り抜けであるから経費計上しないという理論構成は自己矛盾も甚だしく、論理の破綻をきたしている。

共益費は賃料を形成するものであるから、授受されているならば、それは計上しなければならない。 保証金の償却額とは、賃貸借契約の終了時に保証金の10%程度を償却するという契約がある場合の、その償却額である。これも実際実質賃料を形成する。

一つの具体例を挙げてみましょう 保証金の金額が月額支払い賃料の10ヶ月とし、そのうち2ヶ月は賃貸借契約終了時に償却するという賃貸借契約があったとする。(よくある契約ですね。)

この条件で、ある不動産鑑定書は・・・・
  • 保証金の運用益・・・8ヶ月×運用利回り
  • 保証金の償却額・・・2ヶ月×償却率
と求めていた。

保証金の償却が発生するのは、賃貸借契約終了時である。
賃貸借期間が2年であれば、2年後に償却は発生するのである。それまでは保証金は預かり金であり、賃借人の所有物であり、賃貸人の所有物ではない。

上記の不動産鑑定書の求め方は、賃貸借契約時に保証金の2ヶ月分が、賃貸人の所有物になったと考えている求め方である。この考え方は礼金の償却額の求め方である。
保証金の償却と礼金の償却とははっきりと異なるのである。

弁護士の中ですら、保証金の償却は賃貸借契約時に発生し償却出来ると考えている人がいた。賃貸人のある代理人弁護士が、準備書面で保証金の償却が契約時に発生して計算して、賃料増額請求をしてきたので、「賃借人の所有物を勝手に賃貸人の所有物にするのか。それは詐欺・横領の類では無いのか?!」と噛みついてやったことがある。
賃貸人の代理人弁護士も、詐欺・横領に等しいと指摘されて、法律家として分かったのか、主張を撤回してきた。

賃貸借契約が継続していると、契約期間の更新に当たって、新規賃料の1ヶ月分の更新料を支払うという契約がある場合が多い。
月額賃料が低額の場合には、さほど問題にならないかもしれないが、月額賃料が400万円とか500万円の賃料の場合、その金額相当の償却額は侮れない金額となる。

例えば、6年前と4年前に500万円の更新料を過去2回支払っていたとする。
その金額は1000万円である。
更新料の償却額は、金利を考えないとすると、
※500万円÷6年÷12=6.94万円
2回目の更新の500万円は、

500万円÷4÷12=10.41万

で、2つの更新料の償却額は、月額で、
※6.94万円+10.41万円=17.35万円
となる。
この金額が支払賃料に加算されて、現時点・賃料改訂時の実際実質賃料になる。
この17.35万円は、500万円の支払賃料に対して、
※17.35万円÷500万円=0.0347≒0.035
3.5%の割合になる。無視するには大きすぎる割合であり、無視する事の出来ない割合である。
継続賃料が、新規賃料より安い賃料現象を生じる一つの原因は、長期の賃貸借契約の間に、更新料の授受等が行われ、その償却相当額が支払賃料に影響を与えるためである。
賃借期間の長期化に伴い、賃借人は、その間は賃貸人の財産価値の形成に協力してきたのである。このことを無視して、授受された更新料は支払賃料とは関係ないとして継続賃料を評価すると、賃借人側より猛反発を食らうことになる。

また、『更新料の償却を忘れると、賃借人側から「支払った更新料はドブに捨てた金になるのか」と強い反発を受けることになる。そして「鑑定を知らない不動産鑑定士」、「不等鑑定」の非難を強烈に浴びることになる。』
最近(2004年)、東京地裁の鑑定人の家賃の鑑定書で、過去に支払ったおよそ1000万円の更新料を全く無視して、2年前に改訂した現行賃料を増額するという鑑定書にお目にかかった。
賃借人側に、
 「この鑑定書の更新料無視は賃借人を愚弄しているものだ。」
と、説明したところ、
 「こちらが家賃に素人だと思って馬鹿にしゃがって。」
と賃借人は、東京地裁の鑑定人の鑑定家賃に対して怒り出してしまった。
多額な更新料を支払っているのに、全くその事実を無視して、
 「賃料増額の賃料が適正である。」
と結論づける鑑定書に対して、賃借人が、
 「何が適正か。」
と言って怒るのは当然であろう。

参考資料:『賃料<家賃>評価の実際』p347(清文社)

継続賃料って?

当初の賃貸借契約の期間が終わった後に、引き続き契約を更新する際に設定される賃料のことを指します。
貸し手と借り手との当事者間だけで成立する賃料なので、あまり市場には出てきません。賃料相場が上昇基調にある時は、新規賃料に比べて継続賃料は上がりにくい傾向があります。
そのギャップを埋めるために更新料を借り手から取るという面もあります。新規賃料同様、賃貸経営オーナーにとって長期的な収支計画を検討する際には考慮すべきポイントです。

簡単にいうと・・・(賃料の色々まとめ)

賃料を求める鑑定評価の手法というものがあります。

不動産の賃料を求める鑑定評価の手法

◎新規賃料にあっては
積算法、賃貸事例比較法、収益分析法等があり、
◎継続賃料にあっては、
差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等がある。

実質賃料と支払賃料

実質賃料とは・・・
賃料の種類の如何を問わず
貸主に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価をいい、
純賃料及び不動産の賃貸借等を継続するために通常必要とされる諸経費等(必要諸経費等)
から成り立つものである。
☆公式その1・・・(実質賃料)=(純賃料)+(必要諸経費等)

支払賃料とは・・・
各支払時期に支払われる賃料をいい、契約に当たって、権利金、敷金、保証金等の一時金が授受される場合においては、当該一時金の運用益及び償却額と併せて実質賃料を構成するものである。
☆公式その2:(実質賃料)=(支払い賃料)+(一時金の運用益及び償却額)


なお、慣行上、建物及びその敷地の一部の賃貸借等に当たって、水道光熱費、清掃衛生費、冷暖房費等がいわゆる付加使用料、共益費、管理費等の名目で支払われる場合もあるが、これらのうちには実質的に賃料に相当する部分が含まれている場合があることに留意する必要がある。
☆公式その3:(実質賃料)=(支払い賃料)+(一時金の運用益及び償却額)+(実質的に賃料に相当する部分)

支払賃料の求め方契約に当たって一時金が授受される場合の支払賃料は、実質賃料から、当該一時金について賃料の前払い的性格を有する一時金の運用益及び償却額並びに預り金的性格を有する一時金の運用益を控除することにより求めるものとする。
☆公式その4:(支払い賃料)=(実質賃料)ー(一時金の運用益及び償却額)

具体例賃料の前払い的性格を有する一時金⇒礼金、権利金預り金的性格を有する一時金⇒敷金、保証金 賃料の算定の期間宅地並びに建物及びその敷地にあっては一月を単位とします。その他の土地にあっては一年を単位とします。

共益費って?管理費って?

賃貸ビル・マンション等において、賃貸人は賃借人から、賃料とは別に“共益費”や“管理費”を徴収するのが一般的である。

この“共益費”とは、共用部分の維持管理費、光熱水費等をまかなう実費相当額と理解されているがことが多い。

  しかしその内訳となると、これといった規定はなく、鉢植えのリース料や管理人の人件費まで含めるのか否か、かなりあやふやである。したがって、マンションで賃料の1割程度、事務所で2割程度といった相場で決められる場合が多く。「第2賃料」と理解されるに至っている。

実際、賃料と区分する意義を認めず、「共益費なし」「共益費は賃料に込み」とする物件も多い。契約上区分していても、仲介業者間では合算し、「共益込みで・・・」と会話されることが多い。

  もし、これらを区分する意義があるとすれば、次の点だろう。
  1. 共益費は賃料と異なり協議なしに値上げが可能とも考えられる。
  2. 抵当権者が賃料を差し押さえても、共益費にまでは及ばない。
  3. 共益費は、会社の家賃補助の対象外である場合が多い。
  4. 共益費は、生活保護世帯の基準家賃とは別枠である。
  5. 通常の賃貸というサービス以外のサービスを提供しやすくなる。
少し解説いたします。
  1. は、賃貸人にとっての利点であるが、あまり説得力がない。
  2. は、賃貸人(抵当権設定者)にとっての利点であるが、特殊な場合のことである。
  3. は、賃借人を雇用する会社にとっての利点であるが、これも特殊な場合のことである
  4. は、物件の選択肢が広くなるという点で賃借人の利点だが、やはり特殊な場合である。
  5. は、共益費という料金をとることにより、共用の庭園や談話室を整備しやすくなるということである。
これらのうち、①~④に大きな意義は認められない。⑤についても、賃料に含めて考えられないこともないから、共益費が絶対必要というわけでもないのである。

マンションの場合、管理費と共益費はどう違うの?

マンションの管理費というのは、マンションの共用部分の維持管理費用として、共用部分の所有者(原則として、全区分所有者の共有で、各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。)が負担する金額をいい、マンションの共益費とは、マンションの賃借人が、賃貸借契約に基づいて家主に対し、共益費の名目で支払う金額をいいます。

なお、共益費について付言しますと、マンションやアパートなど集合住宅の一室を賃借する場合、賃料の外に共益費を支払う約束をしているのが一般ですが、共益費は、賃貸借契約の内容で決められます。
多いのは、マンションの共用部分についての維持管理や賃貸部分から出されるゴミ類の有償処分のために支出されるべき実費であると思われます(東京地裁平成5年12月27日決定は、このような性格の共益費は、家主の利益になる賃料とは違って、実費であるから、抵当権に基づく物情代位=差押えの対象にはならない、と判示しています。)が、中には、共益費の名目で、実費を超える金額を支払う契約をしている場合もあり、この場合は、実費分と賃料の部分に分ける必要があると思われます。

東京地裁平成11年6月30日判決の事例は、この事案の共益費は約374万円でしたが、適正共益費は建物全体の保守、点検、清掃費用実費、ビル管理人件費等で約142万円であることから、差額は、実質賃料である、と判示し、適正賃料の算定に当たり考慮しなければならないとしています。
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